全身性強皮症(SSc)では皮膚線維化や末梢血流低下による循環障害をきたしやすく、手指や足趾に皮膚潰瘍ができることがあります。これら皮膚潰瘍は、特に冬期に発症する例が多いのですが、年間を通じで治らない例もあります。また、小さな外傷から難治性の潰瘍になることも少なくなく、これは手術創も例外ではありません。

SScに伴う手指潰瘍は難治例が多く、細菌感染を起こした場合には、潰瘍が拡大し骨髄炎や関節炎を伴い、指趾切断に至る可能性もあります。

 

 

【病態】 1) 全身性強皮症(強皮症)は、皮膚や諸臓器の線維化と血管障害を主徴とし、膠原病の中でも皮膚潰瘍・壊死を高頻度に生じる疾患です。強皮症の潰瘍は、指趾の末梢循環不全を基盤に指趾尖部に生じることが多く、皮膚硬化や屈曲拘縮にともなって指関節背面にも生じやすいとされています。

 

【治療】 1)

強皮症の潰瘍治療には、内因的・外因的な悪化因子を取り除きながら、安静や保温を心がけ、局所と全身的な薬物療法をいろいろ組み合わせていくことが必要です。

(1)局所治療

局所治療は各種外用剤や処置が行われますが、現在では創部を湿潤状態に保ち、治癒を促進させる閉鎖処置が主流となっています。外用治療は有効な場合もありますが、難治性の場合も多く潰瘍のコントロールが不能となる組織壊死を招くことがあります。

(2)全身治療

膠原病、血管炎にともなう皮膚科医用診療ガイドライン(2017日本皮膚科学会ガイドライン)では、強皮症の潰瘍治療について以下のように述べられています。 「保存的な治療を優先させ不必要な外科的侵襲を加えないことは、強皮症の潰瘍・壊疽の治療においてきわめて重要な点であり、壊疽も乾燥・自然脱落を待つ方が良い場合も多い。全身薬物療法は、潰瘍治療に対して単独で有用性が示されているものは少ないが、これはその薬剤が有用でないということを意味するものではない。複数の薬剤を組み合わせた場合に有用であることは、実地診療上で経験されることである。」 また、エンドセリン受容体拮抗薬のボセンタンは潰瘍新生抑制で推奨度1A(強い推奨、強い根拠に基づく)となっています。

(3)外科的治療

壊死組織を取り除くデブリードマンなどの外科的治療は潰瘍をさらに拡大させる場合があり十分な注意が必要ですが、保存的治療で軽快しない症例では、外科的治療を選択肢の一つとして推奨しています。また、難治性皮膚潰瘍や壊疽に対する指趾切断術は指の短縮や再燃を繰り返すことがあるため、やむを得ない場合を除き推奨できません。

 

まずは、保存的な治療を優先させ不必要な外科的侵襲を加えないことは、強皮症の潰瘍・壊疽の治療においてきわめて重要です。

 

参考資料
1) 日皮会誌:127(9), 2033-2075, 2017